コンテンツ・ベンチャー

2013年12月11日 (水)

上坂真人インタビュー3 アートフォトについて



志村 こんにちは。

上坂 こんにちは。

志村 今日はアートフォトについて。

上坂 先週パリフォト(Paris Photo)行ってきまして。

志村 ほおほお。

上坂 カメラのメーカーさんと行ってきたんだけど、もうみんな感動してました。

志村 どのへんに?

上坂 私たちカメラを作っていながら、なんでこんな世界を知らなかったのか、と。

志村 知らないんですか。。

上坂 そーなんですよ。私も去年初めて行ったんだけど。みんな普通にフォトを楽しんでるんですね。

志村 なるほど。

上坂 イエロー・コーナー(Yellow Korner)とルーマス(Lumas)っていうショップがあって、アートフォトを取り扱ってるんだけど、どんどん大きくなってる。

志村 へー。

上坂 それに格好いい。

志村 そーですねぇ。格好いいのはみんな好きですか?

上坂 そうね。

志村 格好いいフォトを部屋に飾るんですかね?アート的なクールさって、みんなが普通に使うコップとか、部屋に溢れるモノには活かされてないと思うんですけど。

上坂 そこをいま提案してるんだよ。いままで、写真の楽しさ、アートフォトを部屋に飾ったり、フォトグラファーを育てるっていう楽しみを誰も提案してない。

志村 はい。

上坂 それは、マガジンハウスやメディアの役割だったと思うんだけど。

志村 なるほど。

上坂 だから、既存メディアだったり、影響力ある人や企業でも、アートフォトが楽しいっていうことを提案し続けていて。彼らが動きだしたら、広まると思うよ。

志村 そーなんすか。

上坂 うん。誰でもメディアの時代って言われてるじゃないですか。その割にPR会社が持ってくるアイデアってのが、相変わらずテレビや雑紙でPRするというものばっかりなの。

志村 あー。

上坂 もっと考えてよって。いや、たとえば、ANAの機内誌に載りますとか、トヨタや野村証券の広報誌に載りますっていうアイデアはないのかと。

志村 ふむふむ。

上坂 出版社はそういう雑紙作ってるんですよ。でも、PR会社はそことのコミュニケーション回路が無いんだね。そういう雑紙作ってる出版社の部署にも、試写会とか展覧会のチケットプレゼントみたいな話は回って来ないのよ。

志村 なるほど。

上坂 だから、アートフォトの展覧会の話とか、喜んで載っけてくれるじゃないかと思うんですけどねぇ。

志村 そーすると、伝わるわけですね。

上坂 そうなんですよ。

志村 なるほどね。

上坂 オンリーワンや世界的なコンテンツさえあれば、それを利用するメディアなんて溢れるほどあるんですよ。

志村 ネットの時代だからねぇ。

上坂 そう。メディアとは何ぞやっていうメディア論とかね、全く必要ないんです。いいコンテンツを伝えたければ、それは紙と電波のメディアじゃなくて、空間やスペースかもしれないし。

志村 そうねぇ。

上坂 広い意味でのメディアがあればいいんです。

志村 なるほどね。

上坂 コンテンツがあって、それを知らせたい。コンテンツもユーザーも千差万別なんだから、どんなメディアか?パッケージかってトコを固定する必要はない。とある出版社のアーカイブから、とある消費材メーカーが好きなコンテンツを選んで、顧客に配るって言う話を聞いたんだけど。コンテンツを伝えるんだったら、文庫本にして本屋で流通させるってことに固執する必要はないのよ。

志村 そうですね。メディアが解体、再定義されていくってことですかね。

上坂 伝える側がもっと広い意味でのメディアを利用して、提案していかないと。フォトグラファーも、展覧会だけでなく、もっとユーザーの近くにいたほうがいいんですよ。だから、テレビ受けする人を作りたいし、評論家もそう。まだまだ既存メディアは影響力あるのは確かですから。

志村 なるほどね。ギャラリーで展示会やるだけじゃ足らんですよねぇ。

上坂 そう。ウチも写真の版権管理から、フォトグラファーを育成する方向に変わりつつある。写真という固定された媒体だけでなく、表現にはいろいろな可能性があるから。

志村 そうですね。ディズニーと同じだ。

上坂 雑紙自体は、企業が買ってしまってもいいと思います。Elle Decoっていうインテリア雑紙を、たとえば住宅メーカーとかが持つ。世界中のブランドが広告出したいって言ってくるわけだから。人材派遣会社がマリクレールを買えばいいんですよ。

志村 そー言うこと、前も言ってましたねぇ。

上坂真人インタビュー1 出版の革命 - 雑紙からの解放 - (2009年10月26日)

上坂真人インタビュー2 サーチじゃなくてセレクト (2009年12月22日)

2009年12月22日 (火)

上坂真人インタビュー2 - サーチじゃなくてセレクト -

ロックメディア 上坂真人インタビュー 本もやる出版社

社会部長がタッケン禁止って・・・

志村 コニチワァ。

上坂 はい。

志村 ビジネス進んでますか?

上坂 結構、ヒキいいですよ。

志村 今日は何話しましょう?

上坂 なんでもいいよ~。

志村 エンタメってなにか?とか。

上坂 ツイッターと動画をネットで流しても、エンタメとは言えませんよ。

志村 Kindleどうですか?こうやってiPhoneで買えるんですよ!

上坂 まぁね。

志村 関心なしと。

上坂 そんなことないけど。

志村 あれどうですか?出版社のデジタル取次?

上坂 あ~あ

志村 それも関心ないの?

上坂 ないねぇ。出版社っていうのがダメですよ。新しいコンテンツ生み出せないもの。
バイヤーとして失格。

志村 うーん。

上坂 大体さぁ、ジャーナリズムを標榜するなら、論座、現代、諸君、フォーサイトやめるなってことよ。

志村 最後まで守るべきものだろと。

上坂 高校の友達がさ、テレビ局の社会部長なんだけど。タクシー禁止なんだって。

志村 はい。

上坂 ガックリきちゃったよ。社会部長がネタ仕込むために自由に動けないんだから。研究開発部門ないメーカーって存在理由ないのと一緒だよ。

志村 はっはい。(一例として、ホンダの研究開発費は売上が減少した2008年度も伸びている。)

重厚な装丁に、凄いと思ってしまった

志村 この前「フリー」の出版パーティ行ったんですよ。

上坂 あぁ、行ったの。

志村 ツイッターとか流してて、おもろかった。

上坂 まだ読んでないんだよ。

志村 あぁ

上坂 いや、オレ、自分自身にショック受けた。

志村 どーしたんですか?

上坂 無料ダウンロードしたのよ。青い表紙。

志村 そうそう。

上坂 あれ見たとき、80ぺージくらいの薄いブックレットだと思って、ちょっとバカにしてたんだよね。

志村 えー。

上坂 それで、買った人に見せてもらったらさ、なんかこれ凄いじゃんって思ったの。あの厚さに。

志村 結構厚いよね。

上坂 重厚な装丁見て、これはスゴイって思ったんだけど・・・ 実はそんな自分がショックだった。本をいつもバカにしてた自分が。

志村 ハハハ・・・ それって、刷り込み?

上坂 そうだね。本は知性の塊って、若い頃から本にいろいろ教わってきたから。

予言:量から質への大転換 in Internet

志村 デジタル出版にも、そういうブランディングが必要なわけですよね。

上坂 そう。クオリティだね。アクセス数よりユーザーやコンテンツの質が見直される時代が来る

志村 ほう。

上坂 20年前は、100万部売ってる雑誌がいちばん高い広告料金取ってたんだよね。15年前から、7万部の雑誌も100万部と同じ広告料金取れるようになったんだよ。

志村 そりゃ、またなんで。

上坂 世の中が多品種少量生産の時代になって、コンテンツの質と読者の質が重視されるようになった。

志村 へぇ。

上坂 デジタルでも同じことが起きるよ。これから。

志村 そうすか?

上坂 今はどれだけ利用してる人がいるとか、ページビュー数が基準なわけじゃない。

志村 うん。

上坂 でも、インターネットもこれから揺り戻しが起きて、必ず質が問われるようになる。メディアの質的変換が起こる

志村 ふーむ。

上坂 だってさ、ツイッターとか今までの下書きみたいなモノが流れてるんだよ。

志村 でも、それ楽しいですよ。

上坂 それは、だからデジタルに関わってる人が思ってるだけ!

志村 そーなの?

上坂 ツイッターって250万人?使ってるの。それ以外の人はさぁ、日々忙しくて、そんなの見てられないよぉ。

志村 ふーむ。この前雑誌社の人と話したら、日々の業務が忙しすぎて、ツイッターなんかやる暇ないし、出版業界のことなんか考える状態じゃない。もし、ヤバイとしても、他に転職できないから、今の会社がなるべく存続するようにがんばるだけだって言っとりました。

上坂 出版業界の人は、逆にこの分野は勉強せねばならないのだから、その人は失格。でもフツーの働いている人と考えると、まさに、その通り!

志村 ふーむ。

サーチじゃなくてセレクト

上坂 ツイッターみたいにさ、細かい情報たくさん流れてごらんよ。ウザいだけよー。

志村 そーすね。でも、自分で好きな情報だけを選べるんすよ。

上坂 まぁ、それはデジタル系の人だけですよ。能動的に行動するのは。

志村 あぁ、はい。

上坂 誰か、整理して見せる人が必要なんだよ。普通の人にとっては。

志村 そうなんすかねぇ。サーチとか。

上坂 サーチは無理だよぉ。誰かにセレクトしてもらう必要があるのよ。

志村 はっはぁ・・・

上坂 大体必要な情報って、自分の趣味と生活に必要な情報の2つだけでしょ。

志村 はっはい・・・

上坂 昔は、「ぴあ」に全部必要な情報が載っていたし、それが重宝されていた。

志村 ふむ。いまは。

上坂 でもいつしか、そこからセレクトされた「東京ウォーカー」の時代になった。だから、そういう揺れ戻しが起きるのよ。インターネットのサービスは、ツイッターみたいに不要なもんがたくさんあるの。

志村 そこに出版社とか編集の活躍する場所があるわけですね。

上坂 いや、出版社はダメ!面白いモノ作れないじゃきに。 

志村 デジタルもまだまだと。。。

上坂 デジタル系の人もダメですよ。デジタルに固執しすぎ。普通の人目線ないもん。

志村 はい。

上坂 出版社もデジタルに、逆固執してるしね。

志村 誰がやるんすか?


コンテンツビジネスの廃藩置県


上坂 そこに、ビジネスモデルを確立したいのが、僕の目標なの。

志村 コンテンツの目利きみたいな人ですよね。

上坂 そうじゃきに。

志村 維新?

上坂 廃藩置県ですよ。

志村 出版社が藩で、新たなコンテンツ整理&配信組織が県。

上坂 でも藩の中心人物は、新政府の中枢には誰も入らなかった。藩の反乱者か脱藩者にしか新政府はできなかった。出版社や新聞社は消滅しますよ。このままでは。

上坂 コンテンツを紙、テレビ、書籍、携帯からセミナーまで、そのコンテンツと受け手に合わせて、色々な手段で提供したいのが、僕のビジネスモデル

志村 ふむ。

上坂 そこがきちんとしていれば、そこからビジネスモデルも決まってくるし、紙だって生き残れる。

志村 なるへそ。

上坂 今、出版社の抱える問題って3つあるよ。ひとつは、コンテンツのつまらなさ。そして、返本率の高さ。3つめが読者の顔が見えないから、広告クライアントの信頼を得られないこと。

志村 ふむふむ。

上坂 ボクが考えてるビジネスモデルは、その3つの問題点を全部解決できるわけよ。

志村 はっはい。

上坂 メディアが先じゃなくて、いいコンテンツが先なの。いいコンテンツをどうやって売ったらいいか、をすべてについて自由に考えましょうってことです。

志村 プランナーみたいな仕事?独立プロデューサーみたいな。

上坂 その機能はあるけど・・・

志村 電通とかのビジネスみたいなイメージ?

上坂 いやいや、違う。自分たちがコンテンツの責任をとるから、電通ではない。新しい形のメディア企業。私がやりたいのはあくまでもメディア企業なの

志村 でも、コンテンツ探して、リスク取ってやる人っていないでしょ?

上坂 出版社とかだと、失敗しても責任とらないから。日本って、ソニー・ホンダ以来、世界に行ったベンチャーが育ってないでしょ。

志村 そうですよねぇー。

上坂 アメリカは、50年前に創業したベンチャーなんてもう存在してないわけよね。

志村 目利き、セレクト部分も、常に新規参入がないとダメになりますよね。新聞もテレビも流通部門が再販、規制で守られてて、自分で売る必要ないから、お客さん目線無くなるんですよ。

上坂 メディア業界を見渡して残念なのは、土日とか深夜使って、なんかビジネス考えるような若者が見当たらないってことだね。

志村 成功したセレクト部門の人が、ずっとのさばると若い人がつまらない。そこはオープンなままの状態を保ちたいですぅ。

上坂 自分はビジネスモデルを広めたいだけでね。成功しても独占するつもり全然ない。

コンテンツって二極化しますよ

志村 コンテンツってなに?

上坂 コンテンツは、知恵とお金とエネルギーが詰まったモノじゃなきゃダメです。

志村 はい。でも、そのいいコンテンツのライバルってユルいCGMですよね。プロのライバルは、業界内じゃなくて、一般の人ですよ。

上坂 そうだね。

志村 この前ニワンゴの社長の話を聞きに言ったら、放送コンテンツは、メッセージ性が強すぎる。それをユルいインターネットの世界にそのまま持ってきても成功しない。誰もツッコミいれられないからって言ってたんですよ。

上坂 うん。

志村 これからのコンテンツってそういうユルさを出さないとウケないんじゃないでしょうか?

上坂 ツイッターとか?

志村 はい。

上坂 そういうのはさ、自分で目利きできる範囲ならいいよ。でもちゃんとしたコンテンツ、信頼できるコンテンツじゃないとウケませんよ。

志村 でもなぁ。お金払ってもらうコンテンツとユルいものを二極化されるんじゃないですかね。

上坂 なるほど。

志村 ネット動画を見て、テレビ局の人がプロの仕事じゃないって思うのはわかります。「ガンマ補正が・・」とか色調調整して映像仕上げてる人から見たら、ネット動画は許せない。

上坂 うん。

志村 でもそれって、プロかアマかの違いじゃなくて、単にメディアの違いじゃないすかね?

上坂 まあね。

志村 放送に合う番組と、インターネットにあった映像は違うのが当たり前と考えたほうがいいですよ。忙しい昼飯にフルコース食べてもしょうがない。忙しいときは、立ち食いうどんで充分満足なんすよ。

上坂 はい。

志村 テレビの基準でインターネット上の映像を切り捨てちゃいけません。

上坂 さっきの本と同じだね。

志村 これからコンテンツって、上坂さんが目指すようなブランド力あるコンテンツと、ユルいCGMの二極化していくんじゃないですかね?

上坂 そうかね。

志村 中間がなくなるという。インターネットって中間層が無くなりますよ。

上坂 ほう。

志村 最近、自動翻訳ってたくさん出てきてるじゃないですか?情報取りたい人って、完璧な訳って必要ないんですよ。なんとなく何言ってるか分かればいい。英語がわからないだけで、その分野の知識はあるわけですから。

上坂 うん。

志村 いや、そういうちょっとした情報は無料で手に入ってしまいますよね。だから、あまり考えてないテレビ番組って批判が強いのかなぁって思います。これなら自分でもできるよって思うか。ほかにオモロいことあるよ。って

上坂 そりゃそうだ。

志村 日本の新聞社だって、ネットに無料で出したから衰退してるんじゃなくて、そもそものコンテンツが読者が読みたいモノからズレてるんすよ。誰と誰が料亭で会っていた。そこで、○○解任の流れが・・・とか。そんなの読みたくないよって。

上坂 そうそう。

志村 ストレートニュースは、ツイッターに任せておけばいいんです。それ以上のコンテンツを出してくれって言いたい。夕刊のコラムとか、都内版とか面白い。出雲レポートとか、目とか、1面下のシリーズとか。夕刊みたいな記事読みたい。

上坂 そうなの。だからいいコンテンツを探す必要あるんだよ。

コンテンツ制作は、コストじゃなくてプロフィットなんだ

志村 信頼性のあるコンテンツは誰が作るんですか?

上坂 あえて言うと、既存メディア企業ではない大企業になるでしょう

志村 情報は、まぁあるとは思いますけどねぇ。

上坂 彼ら一般企業はまだ、本気じゃないけど。本気出して、自分たちの持ってる情報でコンテンツビジネスしたら凄いって。出版社なんて20億円あればできるのよ。安いでしょ。

志村 メーカーがお金出しますかね。

上坂 うん。いま広告費は削減されてるわけよ。でも、メーカーは、お客さんとできるだけ長期間接点持ちたがってるよね。

志村 ライフタイムバリューってやつ。

上坂 でも、自社の宣伝だけしてもしょうがないじゃない。

志村 はい。

上坂 だから、広告以外のコンテンツも制作する必要があるんです。

志村 でも、メーカーって、利益が少しでもあるんだったら、研究開発に回したいんじゃないですか?特にこの時代の変わり目タイミングは。

上坂 コンテンツ制作は、プロフィットを生むんだよ。今までコストセンターだった広告宣伝が、プロフィットになる。JTBの旅行コンテンツなんていくらでもビジネスモデルが考えられる。

志村 なるへそ。

上坂 あと、メディアを持つと社会的地位も上がる。それに、コンテンツ発信することによって、いろいろな情報が集まってくる。

志村 うーん。わかるんですけどねぇ。メーカーの人たちって、想像以上に固いですよ。コンテンツ作れるんですかねぇ。

上坂 でも上場企業って3000社あるんだよ。どこかにいますよ。今日の日経MJにだって、サイト企業が雑誌出すとか、一般企業がサイトオープンするとか、たっくさんのっていますよね。出版社がどんどん廃刊する以上の数、一般企業からメディアが誕生しているわけですよ。そして、誕生したばかりのものは、成長するんです。

上坂真人インタビューその1は、コチラ