« らんらん宝塚:オクラホマ | トップページ | ケーワウ格闘技:WBAミニマム »

2006/11/10

映画王モリコラム:羊たちの沈黙

「羊たちの沈黙」(1991/米)

この作品の登場はある意味エポックといえるほど、その後数々のサイコサスペンススリラーが登場し、“プロファイリング”という捜査方法が一般に知られるようになるなど、この作品が与えた影響は極めて大きい。女性を狙った連続殺人犯逮捕の為、女性FBI訓練生が、殺人鬼でありながら天才精神分析医で独房に監禁されている“ハンニバル・レクター博士”に面会し、事件のヒントを得ようとするのが・・。とにかく博士演じるアンソニー・ホプキンスの圧倒的な存在感が凄い。従来の映画のパターンならその残虐性のみ強調されてしまうだろうが、この名優が演じるとその言動は知性と威厳に満ち溢れ、それ故に底知れぬ恐ろしさのオーラが滲み出ており、彼の存在が作品のトーンを決定付けているのは言わずもなが。それに対し凛とした態度で彼と真正面から対峙するジョディ・フォスターがその内面演技の見事さで受けて立つ。映画はこの2人の丁々発止のやりとりを、彼らのクローズアップを多用することで緊迫感を持続させながら、事件を究明していく過程と同時に互いの立場を超えた奇妙な友情が生まれてくるプロセスを実にスリリングに描いていくのである。そういった役者の好演は勿論、猟奇殺人という極めて残酷でスプラッターホラーになる題材にも関わらず、演出はそういった血生臭いシーンを直接これ見よがしに見せることなく、最小限に抑えることで、観客に妖気にも似たイメージをより強く喚起させることに成功している。極めて抑制されたスタイルと優れたビジュアルセンスが、演じる役者の演技と見事に絡まり、この手のジャンルにありがちな安直なテクニックを飛び越えて、ある種の品格さえ感じるほどの高みにまで至っている。

« らんらん宝塚:オクラホマ | トップページ | ケーワウ格闘技:WBAミニマム »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/42812/12707764

この記事へのトラックバック一覧です: 映画王モリコラム:羊たちの沈黙:

« らんらん宝塚:オクラホマ | トップページ | ケーワウ格闘技:WBAミニマム »