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2006/09/01

映画王モリコラム:ゆきゆきて神軍

「ゆきゆきて、神軍」(1987/日本)

この映画を初めて観たのは私が確か大学生の時、この作品に登場する“奥崎謙三”という人物をその時初めて知った。映画はその彼の行動を追ったドキュメンタリーなのだが、そのキャラクターのインパクトの強さは今だに強烈で、他の劇映画を蹴散らすほどの迫力をもった凄い映画として強烈な印象が残っている。いい意味でも悪い意味でもこんな凄い人物が日本にいたのかと、そしてよくこんな映画が撮れたものだと・・・。内容は戦時中の部下射殺事件の真相を探るために彼が生き残った元兵士を訪問していくという展開なのだが、忌まわしい過去を封印し口を閉ざす既に老人である元兵士達に対して彼の取る行動にまず驚く。とにかく真相究明の為なら暴力をも肯定し、唐突で過激な行動に臆面もなく走ってゆく姿がそのまま描かれるからだ。それらの行動は最初は余りにも虚を突かれてしまって、逆に不謹慎かもしれないがある種のブラックコメディかとさえ感じてしまう(これはある意味カメラが存在するうえでの彼なりのパフォーマンスともとれなくともないのだが、当時見た劇場では、その行動に場内大爆笑だった・・・)。

しかしカメラはあくまで彼と距離を保ちながら、決して共感も批判もせず冷静にその行動を映し続けることにより、ドキュメンタリーが持つゆえのリアリティと緊張感を生み出す。それ故か結果あぶりだされてくる事件の真相が暴かれるあたりはまるでミステリー映画を観るようなスリリングな展開を帯びてくる。しかしこの人物に激しい嫌悪感を持つ人もかなりいるだろう。その点においてこの作品のの好き嫌いがはっきり分かれるかとは思うのだが、ただ戦後数十年経ても、執拗なまで戦争に固執し、それを通じて天皇の戦争責任問題を追求する(既に故人ではあるのだが)彼の姿は、平和で戦後60年以上を経た現在の日本人にとっては改めて“戦争”について否応なく考えさせられるし、、ぶっきらぼうともいえるストップモーションで終わるラストが終始客観的に彼を追い続けた作り手の、挑発的な観客への問いかけとも見える。この作品を肯定するか、否定するか、ある意味日本人必見の映画かもしれない。

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