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2006/08/25

映画王モリコラム:ユナイテッド

「ユナイテッド93」(2006/米)

あの911のテロから5年を経て遂に、というべきか事件そのものを題材に描いた作品が登場、ただこの事件を当事国アメリカがどのように描くのか興味深々だったのだが、一方的なアメリカ側の言い分に陥らず、作り手の題材に対して客観的、かつ誠実で真摯な姿勢を感じさせる良作に仕上がっていると思う。物語は911事件においてハイジャックされた4機の飛行機のうち、目的地に到着することなく途中で墜落した1機について描かれてゆく。全編手持ちカメラで常に不安定に揺れ動く画面、登場人物はあえて核になるような人物を配置せず、犯人、乗客を含めて数多くの人物の不安や恐怖を等配分に描き込み、管制塔や機内という密室のみで混乱振りを交互に見せてゆく手法等徹底したリアリティにこだわったドキュメンタリータッチの画面作りは終始、あくまで「あの“ユナイテッド93便”の機内で何が起こったのか」という点においてのみ目が向けられており、よって「なぜこのような事件が起きたのか」というイデオロギー側面にはあえて触れられていない。

しかしひとつの記録として、この再現ドラマを製作することによって事件の背景を観客が考えるきっかけを与えるだろうこと、それだけ力のこもった作品であり、その一方では一見劇的な興奮を与える展開を避け、観客のカタルシスを与えないような地味な手法を使いながらも緊張感と臨場感で釘付けにしてしまう後半は、その演出法が逆に見事なまで1級の娯楽サスペンス映画のような趣を生み出す、そのあたりはさすがアメリカ映画らしい、ある意味したたかな映画でもある。

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