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2006/05/26

映画王モリコラム うつせみ

「うつせみ」(2004/韓)

キム・ギトク監督の作品を初めて観たのは「魚と寝る女」だった。孤独な男と女の猟奇的ともいえる愛の形は強烈な印象を与え、つい目をそむけたくなるような痛みを伴う激しい残酷描写はきっと好き嫌いがはっきり分かれそうな、それ故に個性的で挑発的といえる作品だった。それ以来コンスタントに発表されている彼の作品どれも興味深く、このコラムでも紹介させて頂いている年間のマイベストテンの常連になってしまい、今1番新作が待ち遠しい監督の 1人だ。この新作も89分というタイトな上映時間ながら彼の才気が充満した中身の濃い作品に仕上がっている。他人の留守宅に忍び込み、そこでの束の間の生活を繰り返す青年と、その時に出会った人妻との愛の形が描かれてゆく。今迄の彼の作品と比べると暴力描写は比較的抑え気味ではあるのだが、この映画を象徴するかのような印象的な冒頭のシーンから、ミステリアスな青年(目が素晴らしい!)と、夫の暴力で傷ついた人妻が惹かれあう過程は台詞を一切排除し、その静謐さが寓話性を高めているあたりは正に彼の本領発揮の演出だ。しかし彼の描くファンタジーはどこか足が地に着いたリアリティがあってその不思議なバランスがこの作品にも深い魅力を与えてくれている。それ故に現実とも幻想ともとれるラストも、その独白とともに、まるで観客に問いかけているかのようで挑発的、又してもこの監督の強固な世界観に圧倒されたのだった。

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