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2006/03/17

映画王モリコラム クラッシュ

「クラッシュ」(2005/米)
本命視されていた「ブロークバック・マウンテン」を抑えて見事本年のアカデミー作品賞に輝いたこの作品、とはいっても投票者のそれぞれの思惑もあったりして、例年アカデミー賞を獲得したからといって、わが国日本ではその作品が必ずしもその年のベストとは思えない作品が多々あるのだが、この作品には正直感動した。まだ年が明けて2ヶ月余りで時期尚早とは思いつつ、早くも今年のマイベストワンに挙げてもいいと思う位心に染み入る作品であった。アメリカのロスを舞台に、ある交通事故をきっかけに始まる様々な人種、職業を持つ登場人物達が交差する36時間内での出来事。そこにはアメリカという多民族国家が抱える人種差別の問題が深々と根を下ろす。約2時間弱の上映時間の中で数多くの登場人物を均等に描きながら、物語は決して複雑にならず、弛緩なく緊張感を持続させる演出と脚本のうまさに感心すると同時に、差別をする側、される側という立場を善人と悪人、被害者と加害者を分けて描くという単純な二元論に陥ることなく、1人の人間の中に両方が混在するという一筋縄ではいかない心の多面性を的確に描かれている点がこの作品に深い重みを与えている。作品自体はこれがアカデミー賞作品賞?と思える程小粒で地味な印象を与え、人種差別が生み出す怒りや憎しみゆえ決して明るい映画ではないが、人間に対して決して突き放したりしない描き方ゆえに、絶望的に暗い展開でありながら、ささやかながらも希望の光を与えてくれている。そこには決して声高ではないけれど作り手の祈りのような願いをも感じ取り、それ故に改めて強い感銘を与えてくれるのである。

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